お子さんが学校に行けなくなり、今、この記事を読んでくださっているあなたは、まるで先の見えない暗いトンネルの中にいるような、深い不安や焦り、そして混乱の中にいらっしゃるのではないでしょうか。
朝、玄関で立ちすくむ我が子の姿を見るたびに、胸が締め付けられるような思いをされたり、「学校に行きたくない」という言葉に、どう対応したら良いのか分からず、途方に暮れてしまったり…。
「なぜ、うちの子だけが?」
「私が何か間違ったのだろうか…」
「育て方が悪かったのかもしれない…」
そんな風にご自身を責めてしまうこともあるかもしれません。周りの目が気になったり、誰にも本音を話せずに孤独を感じたり、「なんとかしなきゃ」という気持ちと「もうどうしたらいいか分からない」という無力感の間で、心が揺れ動いているのではないでしょうか。お子さんの将来を思うと、夜も眠れない…そんな日々を送っている方も少なくないと思います。
その苦しみ、焦り、悲しみ、無力感…それらはすべて、お子さんを深く愛し、真剣に向き合っているからこそ生まれる、とても自然な感情です。どうか、そんなご自身の気持ちを否定しないでくださいね。そして、多くのお父さんお母さんが、あなたと同じように悩み、途方に暮れるような日々を経験しています。
この記事が、そんな風に悩み、心を痛めているあなたの心にそっと寄り添い、ほんの少しでも気持ちが軽くなったり、お子さんとの向き合い方のヒントを見つけたりする、そんなきっかけになることを願っています。
なぜ?を知りたい気持ちと、向き合い方:焦らず、「待つ」ことの大切さ

お子さんが学校に行けなくなると、親として「なぜなんだろう?」「何があったんだろう?」と原因を知りたくなるのは、当然のことだと思います。原因が分かれば、何か対処できるかもしれない、そう思いますよね。
でも、どうか焦って、お子さんから無理に原因を聞き出そうとはしないでください。
実は、お子さん自身も「なぜ行けないのか」をうまく言葉にできなかったり、そのことについて考えること自体が辛かったりすることが多いのです。
子どもが話せない理由(例):なぜ言葉にならないの?
お子さんが言葉にできない背景には、様々な可能性があります。例えば…
- 学校での人間関係で、言葉にしにくい微妙なつらさや孤独感を抱えているのかもしれません。(例:友達の輪に入れない、周りとテンションが合わず疲れてしまう、はっきりしたいじめではないけれど避けられている気がするなど)
- 勉強面でのつまずきや、周りからの期待に対するプレッシャーを感じているのかもしれません。(例:授業についていけない、良い成績をとらなければという焦りなど)
- そうした辛い経験や複雑な感情を、言葉にするのが怖い、あるいは、思い出すこと自体が苦しいのかもしれません。
- 「こんなことで悩むなんて情けない」「自分が弱いからだ」と、恥ずかしさや自分を責める気持ちがあるのかもしれません。
- お父さんやお母さんに心配をかけたくない、という優しい気持ちから、本当のことを言えずにいるのかもしれません。
- あるいは、お子さん自身も、もやもやした気持ちが絡み合っていて、「なぜ行きたくないのか」うまく整理できず、言葉にできないのかもしれません。
ですから、まず大切なのは、原因を追求することよりも、今のお子さんが安心して過ごせる環境を整えることです。焦って問い詰めてしまうと、お子さんはかえって心を閉ざしてしまうかもしれません。
不思議なことに、家が心から安心できる場所になり、お父さんやお母さんとの関係が安定してくると、お子さんの方から、ぽつりぽつりと自分の気持ちや出来事を話してくれる時が来ることがあります。
もしかして「エネルギー切れ」?:学校に行けない心の仕組み 🔋

ここで、不登校を少し違う角度から見てみませんか?
それは、「心のエネルギーが、すっかり枯渇してしまった状態」という視点です。
まるで、スマートフォンのバッテリーが切れてしまうように、あるいは、コップの水が空っぽになってしまうように、お子さんの心のエネルギーが、今は「充電切れ」の状態なのかもしれません。
考えてみてください。子どもたちは、学校という場所で、私たちが思う以上にたくさんのエネルギーを使っています。
- 授業についていくための集中力
- 友達との関係を築いたり、維持したりするためのコミュニケーション能力
- 集団の中で周りに合わせたり、ルールを守ったりするための気遣い
- 時には、苦手なことや嫌なことにも耐える力…
これらすべてが、子どもにとっては大きなエネルギー消費なのです。
本来、家は、学校で使ったエネルギーを回復させ、心を休めるための「充電ステーション」のような場所です。
でも、もし家の中でも…
- 勉強のことや学校のことを言われ続けてプレッシャーを感じたり…
- 親の期待に応えようと気を張っていたり…
- 家族がピリピリしていて、安心できなかったり…
そんな状態だったら、どうでしょう?
エネルギーは充電されるどころか、さらに消耗してしまいます。
そして、心のエネルギーが完全に枯渇してしまうと、心も体も動かすのが難しくなり、「学校に行こう」という気力さえ湧かなくなってしまうのです。時には、何もやる気が起きない、いわゆる「抑うつ状態」に近づいてしまうこともあります。
【最優先で取り組みたいこと】家庭を「安心できる安全基地」にする 🏠💖

では、エネルギーが枯渇してしまったお子さんのために、親として何ができるのでしょうか?
色々な情報があって混乱してしまうかもしれませんが、まず一番に取り組んでほしい、そして最も効果的なこと。それは、家庭を「何をしても大丈夫」「ありのままの自分でいられる」と感じられる、心からの「安全基地」にすることです。
これは、親御さんにとって、比較的取り組みやすいアプローチでもあります。具体的な関わり方のヒントをいくつかご紹介しますね。
具体的な関わり方①:無理に登校させようとしない勇気を持つこと
「学校に行かせなければ!」という親御さんの焦る気持ち、よく分かります。でも、その焦りが、お子さんにとっては大きなプレッシャーになっている可能性があります。
- 朝、無理やり起こしたり、準備を促したりするのを、少しの間お休みしてみませんか?
- 「学校どうするの?」「いつ行くの?」といった言葉かけを、意識して減らしてみませんか?
「そんなことしたら、ますます行かなくなるのでは?」と不安になるかもしれません。でも、実は逆なのです。
無理強いされると、子どもは「行かない理由」を探したり、親に反発したりして、かえって心を閉ざし、登校から遠ざかってしまうことが少なくありません。
今は、お子さんのエネルギーを充電することが最優先。登校刺激を一旦お休みする「勇気」が、回復への第一歩になることがあります。
具体的な関わり方②:「あなたのこと、気にかけてるよ」と伝え、話してくれた時の「聴き方」
お子さんの気持ちを知りたいけれど、プレッシャーは与えたくない…そのバランスは難しいですよね。大切なのは、「無理に話さなくていい。でも、あなたのことはいつも気にかけているよ」というメッセージが、お子さんに安心感として伝わることです。
- 言葉よりも「態度」で示す:
- 普段からお子さんの様子を気にかけていることを、そばに寄り添う時間や穏やかな表情で伝えましょう。
- お子さんの好きな話題に付き合ったり、興味を示したりすることも、「あなたに関心があるよ」という大切なメッセージになります。
- さりげない声かけ:
- もしお子さんが元気なさそうに見えたら、「元気ないみたいだけど、大丈夫?」「何かあった?」と優しく声をかける程度に。深追いせず、「まあ、話したくなったらでいいんだけどね」と付け加えるのも良いかもしれません。
- 無理に聞き出そうとするのではなく、「何かあったら、いつでも頼ってね」くらいの、オープンで待つ姿勢を示すのがポイントです。
- タイミングを尊重する:
- 一番大切なのは、お子さん自身のタイミングを尊重することです。「話したくなった時でいいんだよ」「急がなくていいからね」という気持ちで見守りましょう。
そして、もしお子さんが勇気を出して、自分の気持ちや学校での出来事を話してくれたら… それは、あなたを信頼している証拠です。その時、親としてどう聴けば良いのでしょうか?
- まず、アドバイスや解決策は横に置いておきましょう。 お子さんが求めているのは、多くの場合「ただ、気持ちを分かってほしい」ということです。
- お子さんの言葉を、否定せずに最後まで聴きましょう。 途中で遮ったり、「それはあなたが悪い」などと言ったりしないことが大切です。
- 気持ちに寄り添い、共感を示しましょう。 お子さんの言葉を繰り返す(オウム返し)だけでも、「ちゃんと聞いてもらえている」と感じられます。「そうか、そんな風に感じていたんだね」「それは辛かったね」「怖い気持ちだったんだね」など、感情を受け止める言葉を添えましょう。
- (お子さんの辛い話を聞くのは、親御さんにとっても怖いことかもしれません。その気持ちも自然なことです。でも、どうか少しだけ踏ん張って、お子さんの気持ちを受け止めてあげてください。)
- 最後に、「話してくれてありがとう」と伝えましょう。 これにより、お子さんは「話しても大丈夫だった」「受け止めてもらえた」と大きな安心感を得られます。この安心感が、さらなる対話や心の回復につながっていきます。
具体的な関わり方③:「学校に行けていないあなた」も、大切なあなただと伝えること
お子さんは、「学校に行けない自分はダメだ」「親をがっかりさせている」と感じているかもしれません。
だからこそ、「学校に行っているかどうか」という条件に関係なく、「あなたの存在そのものが大切だよ」「どんなあなたでも、お父さんお母さんの大切な子どもだよ」というメッセージを、言葉や態度で伝え続けてあげてください。
不登校という「状態」と、お子さんの「価値」は、まったく別のものです。
具体的な関わり方④:行くか行かないかは「本人の選択」に委ねること
最終的に学校に行くか行かないかを決めるのは、お子さん本人です。親がコントロールしようとするのではなく、「どうするかは、あなたが決めていいんだよ」と、選択権を本人に委ねてみましょう。
これは、親御さんにとっては勇気がいることかもしれません。でも、「自分で決める」という経験は、子どもの主体性や自己肯定感を育みます。 周囲から強制されるのではなく、自分で選択したと感じられる方が、結果的に「じゃあ、行ってみようかな」と自分で動き出す力につながることがあるのです。
エネルギー回復をサポートする暮らしのヒント ✨

安全基地の環境を整えながら、お子さんのエネルギー回復をサポートするために、家での過ごし方で少し意識できることがあります。
- できる範囲でOK!規則正しい生活:
- 夜更かしや昼夜逆転が続くと、心身ともにエネルギーを消耗しやすくなります。可能であれば、起きる時間、寝る時間、食事の時間をある程度整えられると、心の安定につながりやすいと言われています。
- ただし、これも無理強いは禁物です。「〇時には寝なさい!」と強制するのではなく、穏やかに声をかけたり、一緒に生活リズムを整える工夫を相談したりするのが良いでしょう。完璧を目指さなくて大丈夫です。
- 好きなこと・安心できる時間:「見守る」そして「一緒に楽しむ」
- ゲーム、動画鑑賞、絵を描くこと、音楽を聴くこと… お子さんが好きなことに没頭したり、リラックスしたりしている時間は、大切なエネルギー充電の時間と捉えましょう。「そんなことばかりして!」と否定的に見るのではなく、「今はこれでエネルギーを溜めているんだな」と、まずは温かく見守ってあげてください。(もちろん、時間などの最低限のルールは、必要であれば親子で話し合って決めましょう)
- 加えて、もしお子さんが嫌がらなければ、その「好き」な世界を共有してみませんか? これは、お子さんが「自分は受け入れられている」と感じるための、とても良い方法の一つです。
- さりげなく一緒に楽しむ: 例えば、お子さんが好きなゲームを「それ面白そうだね、ちょっと教えてくれる?」と一緒にやってみたり、好きなアニメや動画を「私も見てみようかな」と隣で見てみたり。大切なのは、無理強いせず、お子さんのペースに合わせることです。「何かをしてあげる」というより、「一緒に楽しむ」「時間を共有する」という姿勢が、お子さんの心を和ませます。
- 特別な時間を作る: 「〇〇(お子さんの好きな食べ物)でも食べに行かない?」「たまには二人で散歩でもどう?」などと誘って、普段と少し違う特別な時間を作るのも、気分転換や親子のコミュニケーションのきっかけになります。これももちろん、お子さんの気持ちを尊重し、無理強いしないことが大前提です。
家庭全体の雰囲気も大切(そっと触れる)😌
お子さんが心から安心してエネルギーを充電するためには、やはり家庭全体の空気感が穏やかであることも、とても大切になってきます。
もし、日常的に家の中がピリピリしていたり、ご夫婦の間で口論が絶えなかったり、お互いに不機嫌な様子が続いたりしている場合… それは、お子さんが意識していなくても、その場の緊張感を感じ取り、心を休めるどころか、さらにエネルギーを消耗させてしまっている可能性も考えられます。
これは、決してご両親を責めているのではありません。 毎日大変な中で、家庭を穏やかに保つことが難しい時もあると思います。
ただ、もし少し心当たりがあれば、「お子さんが安心してエネルギーを充電できる場所」という視点で、家庭全体の雰囲気に少しだけ意識を向けてみることは、お子さんにとっても、そして親御さん自身の心の健康にとっても、プラスになるかもしれません。
まとめ:お父さん、お母さんへ – 焦らず、一歩ずつ、そしてご自身を大切に 🍀
ここまで、不登校のお子さんと向き合う上でのヒントをお伝えしてきました。
今、お子さんに起きていることを「エネルギー切れ」の状態と捉えてみることで、少し状況を客観的に見られるようになり、親御さんの気持ちもほんの少し軽くなるかもしれません。
不登校への対応は、時間がかかることも少なくありません。周りと比べて焦ったり、「早くなんとかしなきゃ」と頑張りすぎたりしないでくださいね。焦りは禁物です。
まずは、家庭を安心できる安全基地にすることから。そして、お子さんの様子を温かく見守り、気持ちに寄り添う姿勢を大切に。今日お伝えしたヒントの中から、できそうなことを一つずつ、あなたのペースで試してみてください。
そして、何よりも忘れないでほしいのは、お父さん、お母さん自身の心と体を大切にすることです。お子さんのことを一番に考えるあまり、ご自身のケアを後回しにしていませんか?
- 休息をとり、肩の力を抜く時間を作りましょう。 睡眠をしっかりとったり、好きなことをする時間を持ったりすることも大切です。
- お子さんの不登校のことだけでなく、ご自身の悩みやストレスとも向き合う時間を持ってみませんか? 仕事のこと、人間関係、あるいはご自身の過去の経験など、抱えているものがあれば、それを整理したり、誰かに話したりすることも、心の安定を取り戻す上でとても重要です。親御さんの心が軽くなり、余裕が生まれれば、自然とお子さんにも穏やかに、余裕を持って接することができるようになり、それが良い循環を生むことも少なくありません。
- 「私のせいだ」と自分を責めすぎていませんか? 完璧な親なんていません。どうか、頑張っているご自身を認めて、労ってあげてくださいね。
親御さんの心が安定していることが、お子さんの安心感に直結します。
もし、どうしても一人で抱えきれない、どうして良いか分からないと感じたら、一人で頑張りすぎず、外部のサポートを頼ることも考えてみてください。信頼できる友人や、同じ経験を持つ他の保護者、あるいは学校のスクールカウンセラー、地域の教育相談窓口、民間の支援機関、そして専門家(例えば、臨床心理士や公認心理師などの資格を持つカウンセラーなど)に相談することも、決して弱いことではありません。 客観的な視点や専門的な知識が、新たな道を開くきっかけになることもあります。それは、あなたとお子さんの未来のために、とても大切な一歩です。
あなたは、お子さんにとってかけがえのない存在です。どうか希望を失わず、一歩ずつ、進んでいけますように。応援しています。

